「02:潤んだ瞳  アレロク」

 

 

辛くないですか?

膝裏をすくい、左右に押し広げ。
己の欲を受け入れてくれた人に、アレルヤは情事の真っ最中とは思えない、息の乱れもない、落ち着いた口調で問いかける。
「・・・構わなくて、いい」
飄々として、取り乱した姿など、一度も見せたことのないロックオンの声が、上ずって、擦れて。
「でも」
「いいから、早く・・っ」
その先を、ロックオンは言わなかったけれど、一瞬で、組み敷いた白い身体が、鮮やかな色に染まるのを、アレルヤは見てしまった。
内側から浮かび上がった、透明な薔薇色に、むせかえる匂いたつ色香。
胸だけでなく、熱を持った場所の全てが、ぞくぞくと疼く。
奇麗な人だと思っていたけれど、素肌に触れる日が来るなんて、考えてもいなかった。
だから。
この人が欲しているのが、決して自分ではなくても、一時の熱でも、何ら構わない。
傍に居て、触れていられるのなら。
「――アレルヤ」
紅い目尻と潤んだ瞳に求められて、誘われるまま、深く身体を沈めれば。ロックオンが息を呑んで、戦慄いた。
彼のなかは、どろどろに熱くて、内壁が絡み付いてきて。
怖いくらいに、気持ちが良い。
「・・・ロックオン」
首筋に、耳の付け根に、頬に、目尻に、いとしさをこめて、くち付けを落とす。

この人を、自分の物にしてしまいたい。
もし――こんな自分に、許されるのなら。