ロクアレ
色々計算外だな。と、汗ばんだ肌に舌を這わせながら思った。
あ。
短く叫んで、震える身体の熱が、また上がって。
凝った胸の先を唇に乗せて転がせば、擦れた声で切なく啼いて、腰が揺れる。
反り返った茎の先からは、絶えず透明な涙が、たらたらと零れ落ちた。
甘い声が、自分の名を繰り返し呼ぶ。
それに答える自分の声も、気持ちが悪いほど甘くて。
少々。
いや、そんな自分に、かなりうんざりする。
何か、手違いがあったとしか思えない。
もっとドライで、割り切った関係を望んでいたはずなのに。
気がつけば、相手に全てを求めている。
自分よりも逞しい男を組み敷いて、情事に浸り、甘い言葉を囁くなんて。
以前の自分なら、ありえない。
自分はもっと、したたかで、ずるい男のはずなのに。
本当の名前すら、知らぬ相手に、恋をするなんて。