以下はライル=二人目ロックオンを前提に書いたKY妄想文です。
続き物です。
今後の展開は『何でも笑って許せる人』向きです。
 

 


「ハロの記録A」

 

『デュナメス、目標を狙い撃つ』
ミッション中の、不敵に笑うニールは、同じ顔をしているはずなのに惚れ惚れするほど良い男だった。

 

今日も今日とて、就寝前にハロの記録を覗いている。
ファーストミッション終了後。
無機質で覆われた船内から、背景は一転して地上。
刹那の背後には、濃い緑が茂っていた。CBの地上基地のある南国の孤島のようだ。
しかし。
倍速で映像を見ながら、思う。
刹那・F・セイエイという少年は、表情の乏しい子供だった。
実年齢よりも幼く見える容姿も手伝ってか、どうしても痛々しく感じてしまう。
多分、ニールが必要以上に刹那をかまうのは、自分と同じモノを彼に感じるからだろう。
ニールは優しかった。
いつでも、どんな時も。
きれいで優しくて、何でも出来て。
大好きだったニール。

「・・・あれ?」
幸せだった過去に意識を飛ばしながら、ぼんやり画面を送っていたら、何時の間にか映っていたのは刹那ではなく、アレルヤになっていた。
しかも、今、抱きついてなかったか?
アレルヤが、ニールに。
「・・・・・」
ぽち。
早戻り。
コンテナに横たわる機体を、深刻な顔をしたアレルヤが眺めている所から、再生した。
ハロはニールの小脇に抱えられているのか、下から見上げた絵だった。

『―――僕のことを、どう思っているんですか』
『・・・・・』
髪でもかき上げたのか、くしゃりとした音と衣擦れの音を、ハロが拾う。
『あの時、あなたは僕を拒まなかった。それは、僕を哀れんだからですか。あなたは誰にも優しいから・・・初めてのミッションを前にして、不安定だった僕を、慰めてくれたんですか?』
アレルヤの不思議な色の眼が、ニールに向けられる。
灰色とは違う、穏やかに光る銀色。
それをハロは微動だにせず、見上げていた。
『約束通り、ファーストミッションも、セカンドミッションも僕は生き残りました』
『そう、だな』
『だから・・・迷惑なのは分かっていますが、答えを下さいロックオン・・・』
辛そうに歪む端整な貌に、震える声。

ちょっと待て。
いきなり、何の場面なのかこれは。
どくん、どくん。と、胸が派手に打ちはじめるから、心臓が軋んで痛い。

アレルヤが近づいてくる。――のではなく、ハロを抱えたニールがアレルヤが近づいているのだ。
急に。
『ロック・・・』
アレルヤが遠のいたと思ったら、映像が上下する。
ニールがハロを腕から離したと解したが、それどころではない。
身体を寄せて抱き合うふたり。重なり合う脚。
それが交互に映る。
「ちょ、近い近い近い〜〜〜ッ!!!」
思わず。
前屈みに、小さな端末に身を乗り出して、画面に食い入った。
『ロックオン、ロックオン、アレルヤ、ナニシテル、ナニシテル』
ぴょんぴょん跳ねるハロの電子音のせいで、肝心な所が聞こえなかったし、よく見えない。

ちょっと待て。
ちょっと待て、ニール。
これはどういうことなんだ?
キス・・・してなかったか?一瞬だけ見えたけれど。
思わず、スローで戻して、その場面を確認してしまう。
確かに、キス、している。
「ぎゃああああっ」
驚愕に叫び声を上げ、両手で頭を押さえる。
膝の上に、端末が落ちた。

落ち着け。落ち着けニール。
相手は男で、年下で。
どうしてそんな相手と濃厚なキスをしているんだ。
ニールを愛しているのは自分だけなのに。触れていいのも、自分だけなのに。

「そんな・・・そんなこと、俺は聞いてないし、認めないからなッ!」

 

つづく。

 

そりゃ、聞いてないだろうよ(笑)。誰も言わないだろうし。
多分、二人目が物凄く莫迦になると思います。