09.
捨て猫 ――なあ、どうしよう。 ――俺、昨日、好きだって言われたんだ。尊敬する人から。 ――俺のことが、かわいくて仕方ないんだと。 ――何に困ってるって、『かわいい』って言われて、気持ち悪いって少しも思えないところなんだって…… ――マジでどうしよう…… 「……俺、嫌じゃないかもしれない」 わたしの目を見えるようにして、ご飯をおなか一杯食べさせてくれた人は、顔を手で隠して耳も首も真っ赤にして、消えそうなちいさな声でそう言った。 そして海燕さんは浮さんに口説き落とされると。 |