03. 凍り付いた鼓膜

 

 

褥をともにするのは、随分久方ぶりだった。
結婚する前も一緒になってからも、互いに仕事が中心で。
すれ違う生活が当たり前で、暗い部屋に帰ることを侘しいと思ったこともなかった。
それに、自分も相手も、その手の欲求は淡い方らしく。
触れてくる腕を拒んだことはないけれど、
獣のように喰らわれることもなく、強引に求められることもない。
そういうものだと思っていた。

 

むにゃむにゃと、うなじに鼻頭をすり寄せてくる。
寝惚けている時のこの人は小さな子供みたいだ。
「くすぐったいわ」
気持ちも言葉も必然とあまやかなものになる。
背中から腕の中に抱き込まれて、耳の付け根をするりと唇で撫でられた。
「…もう、明日も仕事なのよ」
一応諌めているつもりなのだが、甘えているようにしか聞こえないと思った。
良いのだ。どうせ相手は覚えていないし、まがりなりにも自分達は夫婦なのだ。
こんな時ぐらい、相手に甘えても許されるはず。
「…ん、良い匂い…」
顔を髪に埋めた、寝惚けた夫の声がする。
身体の柔らかい部分をまさぐる手がくすぐったい。
昼間なら絶対口にしない科白に、耐え切れずに笑みがこぼれた時だった。
「髪、洗ったんすか…?十四郎さん…」

 

鼓膜だけでなく、全身が凍りついた。

 

 

 

 

 

以下、都女史心の声。
『この状況で隊長って、ありえなくない?しかも名前呼び?この状況で名前呼びってどういうこと?そういうことなの?朽木さんでも乱菊さんでもなく、隊長なの?!』
海燕×浮竹を考えるとき、どうしても外せないのが都女史。
海浮って普通に考えて不 倫だもんな・・・。
でも、都さんの内面だけがドロドロしちゃって(あのふたりは(特に浮さん)何も考えてないっぽいから)つきつめると都さんだけが可愛そうなことになるんだよね・・・。
もいっかいぐらい続きます。